「現在の仕事や職場に不満を抱いているけれど、次に進むべき道が見えていない。」
「これから何をしたいかまだ決まっていない」
こういった悩みを持ち、漠然とした不安に襲われることはありませんか?
「キャリアブレイク」という考え方があります。これは今の仕事から一時的に離れ、心身をリフレッシュさせるための時間を取り、新たな方向性を模索する期間のことを指します。旅行でリフレッシュしたり、新しい分野の勉強をしたり、さまざまな職業の人の話を聞いたりすることで、自分の本当にやりたいことを見つける手がかりとなります。
この記事では「キャリアブレイク」とは何かについて詳しく説明し、わたし自身の体験からそのメリットとデメリット、さらには効果的に活用するためのアドバイスをします。
この記事を読むことで、今の仕事に迷いを感じている人が今後のキャリアを積み上げていくにあたってキャリアブレイクという選択肢があることを知り、実行に移す手がかりとなります。
キャリアブレイクとはキャリア構築に向けた前向きな時間
キャリアブレイクとは、仕事から一時的に離れ、自分のキャリアを見つめ直し、学び直しやスキルアップ、リフレッシュなどに充てる期間のことです。これは単なる離職期間や空白期間ではなく、将来のキャリア構築に向けた積極的で前向きな時間として捉えられています。
(リカレント『キャリアブレイク』とは?休職や離職を肯定的に捉える考え方を紹介」)
職歴や人生の過程を意味する「キャリア(career)」とコーヒーブレイクなど、小休止を意味する「ブレイク(break)」から来ている考え方です。
【実体験】キャリアブレイクを取った理由
わたしは39歳の時、約6ヶ月間キャリアブレイクを取った経験があります。その時の経験を話します。
当時わたしは大手通信会社のコールセンターにて、派遣社員として電話での通訳業務に従事していました。ポルトガル語の通訳ができる貴重な存在として扱われていましたが、以下の理由で満足していませんでした。
- 顧客対応で精神的に疲弊していた
- 派遣社員のため、契約が突然打ち切られる心配があった
- 給料がほとんど上がらない
- 職務内容がほとんど変わらないため、スキル・キャリアアップにつなげるのが難しい
これらの理由で転職を考えていたのですが、この先はどんな環境で、どんな仕事がしたいのか、具体的なことは決まっていませんでした。正直なところ、今後のことをポジティブに考えられないほど精神的に疲れていました。
同時にその時期、妻が体調を崩したため、離職し療養していました。
そのため、まずはふたりとも仕事を離れリフレッシュし、心身ともに健康になってから次の仕事について考えよう、と話しあいました。
これがわたしたちがキャリアブレイクを取ることに決めた理由です。
【実体験】キャリアブレイク中にしたこと
わたしがキャリアブレイク中にしたことです。
- 趣味:焚き火に挑戦
- 旅行
- 家計見直し&医療費控除
- 資産運用
- 副業と個人事業
趣味:焚き火に挑戦!
その頃はキャンプブームの真っ只中でした。いいタイミングたと考え、以前から興味を持っていた焚き火に挑戦しました。当時住んでいた家の前には多摩川の支流が流れており、鮎もいる自然豊かな土地でした。2月の寒い日でしたが、川原で薪を割り、火を起こし、薪を焚べ、メラメラ燃える火で暖まるのは格別でした。
※この川原では焚き火が禁止されていないことを事前に確認しました。
多摩丘陵をバックに、よく晴れた日に開けた川原で、川のせせらぎを体全体で感じることができました。原始的な焚き火の燃えさかる様子を見ながら体を温めていると、仕事のことなどすっかり忘れ、心が洗われたように感じました。
旅行
妻の看病などもあり、退職の数ヶ月前から何度か長期の休みを取っていました。長期休みとキャリアブレイク期間にさまざまな場所に旅行しました。
旅行した場所です。
- 静岡県南伊豆町弓ヶ浜(南伊豆町に惚れ、数年前から何度も訪れていました)
- 千葉県館山市
- 福島県猪苗代湖、裏磐梯、大内宿
(裏磐梯はトレッキングで毎年のように遊びに行っていました) - 神奈川県鎌倉周辺(お寺周り)
- 山梨県・静岡県富士五湖(富士山周辺もよく遊びに行っていました)
離職中のため特に土日祝日に旅行する必要がありません。混雑を避けるのと費用を抑えるために平日に旅行しました。そのため訪れたどの観光地も人が少なく、時間に追われることなく、やりたいことをじっくり楽しむことができました。
わたしたちは海も山も好きで、旅行はだいたい自然の多い場所を選びます。
今回はいつにもまして自然の中に身を存分に置くことができ、仕事で溜まったストレスや疲れがいつの間にか消えていました。
混雑を避けてさらに費用を抑えることができるのもキャリアブレイク中に旅行する大きなメリットの一つです。
家計見直し&医療費控除
家計見直し
キャリアブレイクに入って真っ先にしたことのひとつが家計の見直しです。この期間は収入がないため、可能な限り日々の支出を減らすことが目的です。また、家計の見直しはまとまった時間がないと集中して取り組むのが難しいことでもあります。
もともと不要なサブスクや固定費はある程度の見直しができていたのですが、放置していた以下のサブスクを解約しました。
- Youtubeプレミアム
- Amazonプライム
Youtubeは広告が入るだけで見れなくなるわけではないので、プレミアムを解約しました。Amazonプライムはわたしも妻も個別で契約していました。妻が年間契約していたので、わたしの契約だけ解約し、家族会員として利用することにしました。
医療費控除
医療費控除もまとまった時間がないと取り組むのが難しい作業です。妻が長期間体調を崩していて、令和2年と3年分の治療の診察代と薬代で、申告すればある程度還付される金額になっていました。費用を取りまとめ確定申告期間に申請しました。
2年分合わせて、医療費控除額の合計額が19万円で、約1万円の還付金を受け取りました。還付金額は少なかったのですが、これまで確定申告をしたことがなかったので、申告方法を知るいい経験になりました。
医療費控除については出産時の費用の申請方法をまとめた「2024年確定申告 出産費用の医療費控除」を参考にしてください。
資産運用
夫婦共働きでそこまで浪費はしていなかったので、貯金がある程度貯まっていました。しかし、その貯金を運用して増やすことは何もしていませんでした。
以前から妻が、「何かしらの投資をして資産を増やしたい」と言っていたのですが、忙しさを理由に後回しにして、何もしていませんでした。キャリアブレイク期間に夫婦ともに「始めるとしたら今だ」と考え、投資の勉強を始めました。
その時に参考にした書籍です。
- 暮しの手帖の別冊 『お金の手帖Q&A』
- 厚切りジェイソン『ジェイソン流お金の増やし方』
- 両@リベ大学長『本当の自由を手に入れる お金の大学』
多くの人たちと同様、わたしたちも「投資」というとどこかでギャンブル的なものと考えていました。暮しの手帖は母が昔から購読していたこともあって、わたしたち夫婦も毎号欠かさず読んでいました。そんな身近な雑誌で投資信託を紹介していたため、ぐっと心理的なハードルが下がりました。
そこからその他の書籍やyoutubeの動画でも勉強し、投資信託(インデックス投資)なら投資初心者のわたしたちでも想定されるリスクに耐えられて、簡単に始められると考えました。
以下が投資信託の買い付けを始めた流れです。
- SBI証券口座を開設しつみたてNISAを開始
- 住信SBIネット銀行口座開設
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の買い付けを開始
- 支払い方法に既存の三井住友カードを証券口座に紐づけ
※夫婦ともに同様の手続きを実施
現在は新NISAに移行し、買い付けを続けています。
副業と個人事業
わたしはそれまで会社員として、妻は教育機関で研究員として収入を得てきました。しかし、ふたりとも雇われの身で上司との関係でストレスを多く抱えていました。いつかは自分たちで事業を行い、上司や所属先からの干渉なしに仕事をしてみたいと漠然とした願望を持っていました。
投資のところで紹介した両@リベ大学長『本当の自由を手に入れる お金の大学』や両さんのyoutubeチャンネル「リベ大」で副業を「小さくスタートする」という考え方を参考に、キャリアブレイク中に本ブログを始めました。
(関連記事「無料ブログサービスとWordPressの違いとは? メリット・デメリットを解説」)
それまで個人事業で収入を得たいと思っていたのですが、「やり方がわからない」、「収入が不安定」と不安要素が頭をよぎり、本格的にコミットできていませんでした。しかし「リベ大」で副業や個人事業主として事業を行うための情報を得て、多くの不安が解消され、挑戦の第一歩を踏み出すことができました。
キャリアブレイク後、転職することになるのですが、会社員という働き方だけではなく、個人事業主としての選択肢もあるということを知っていたので、かなりリラックスして転職活動にあたることができました。そして、次の仕事は副業時間と家族との時間を確保するため、残業時間が少ない仕事という条件に決めることができました。
実際にその条件で仕事を探し、転職しました。
キャリアブレイクのメリット
わたしは就労中にはできなかったさまざまな活動をキャリアブレイク中に行いました。
そこで得たものです。
- 趣味や旅行を通して心身ともにリフレッシュできた
- 家計の見直しをし、固定費を減らすことができた
- 投資を始め、資産を増やす仕組みを作ることができた
- ブログを開始し、副業や個人事業をやっていく知識と土台作りができた
- 次の仕事探しの考えがまとまった
キャリアブレイクのデメリット
得られるものがあると同時にキャリアブレイクにはデメリットもあることを頭に入れておく必要があります。
- 収入がなくなる
- 何もせずだらだら過ごしてしまう恐れがある
- 次の転職に際してブランクが空く
それぞれのデメリットと対策を解説します。
収入がなくなる
仕事を辞めるので、当然収入がなくなります。また旅行など費用がかかる活動をしたい場合、生活費以外の出費が出ます。キャリアブレイク中にお金の心配をしないですむよう、以下をすることをおすすめします。
- 離職前にキャリアブレイク中の活動を計画し、支出額を計算しておく
- 支出額に応じた生活防衛資金を確保しておく
- 離職前か後の早い段階で家計の見直しを行い、支出を最小限に抑える
- 実家に引っ越すなど選択可能な選択肢を洗い出しておく
- 失業保険の手当を計画的に受け取る
キャリブレイク中に失業手当を受け取る場合、受取期間を把握しておく必要があります。
雇用保険を受け取ることのできる期間は「離職日の翌日から1年間(短期雇用特例被保険者は、離職日の翌日から6か月間)」ですので、注意が必要です。
(参考資料:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」のQ11)
何もせずだらだら過ごしてしまう恐れがある
キャリアブレイク中に行う活動内容と転職開始時期を決めておかないと、「リフレッシュ」を言い訳に何もしない日々を過ごしてしまう可能性があります。
疲れた心身をキャリアブレイクで癒やすことも大事ですが、あくまで人生の次のステージをより良いものにするための期間です。解決したい問題に向き合い、その解決に結びつく活動を行う必要があります。
次の転職に際してブランクが空く
キャリアブレイク後に企業に応募する際、離職期間が長い理由を質問されます。一般的に離職期間(ブランク)が長いと転職に不利になると言われています。この期間に何をしていたかうまく答えられない場合、業務に真剣に取り組んでくれないのではないかという印象を企業側に与えてしまいます。
そのため、企業側に明確な理由を説明し、ブランクが不利にならないように準備しておく必要があります。
わたしの場合、キャリアブレイクの期間は約6ヶ月間でした。転職活動再開後には「妻の療養のサポートをした」と答え、ブランクが問題になることはありませんでした。
まとめ
この記事ではキャリアブレイクについて書きました。
キャリアブレイクとは一時的に仕事から離れ、リフレッシュをしたり、学び直しをしたりして、これからのキャリアに向きあう期間のことです。
わたしはまず新しい趣味に挑戦したり、旅行したりしてリフレッシュをしました。同時に家計管理や投資などまとまった時間がないと取り組めないことにもチャレンジしました。さらに、副業や個人事業主として働くための勉強をし、次の仕事に対して柔軟な考えを持つことができました。
上記のポジティブな面と同時に、デメリットとその対策についても紹介しました。
- 収入がなくなる →
退職前に必要な生活費を準備しておく、家計の見直しを行い支出を減らす - ダラダラしてただ時間を浪費してしまう →
何をしたいかあらかじめ決めて計画的に過ごす - 転職の際、キャリアブレイク期間をブランクとして企業に捉えられてしまう →
その期間に何をしたのか、企業側から見てポジティブに捉えられる理由を準備しておく
これらのデメリットへの対策を準備しておくことで、キャリアブレイクを有意義に過ごすことができます。もし現在の仕事に満足しておらず、転職を考えているが一度立ち止まってこれからのキャリアについてじっくり考えてみたい、という方はキャリアブレイクを取ることをおすすめします。
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