【実体験】キャリアブレイクとは? 6ヶ月間仕事から離れて得たもの

キャリア・働き方

「今の仕事や職場にモヤモヤしているけれど、次に何をしたらいいのか分からない。」

「やりたいことがまだはっきりしない。」

そんなふうに感じたことはありませんか?

将来への不安や迷いがあり先に進むのが難しいと感じたとき、「キャリアブレイク」という選択肢があります。
キャリアブレイクとは、一時的に仕事から離れて心と体をリセットし、自分自身と向き合うための時間を持つこと。旅に出たり、新しい分野を学んだり、いろいろな働き方や価値観に触れることで、「本当にやりたいこと」のヒントが見つかるかもしれません。

この記事では、私が6ヶ月間のキャリアブレイクを通して得た気づきや学びをお伝えします。
キャリアブレイクのメリット・デメリット、効果的に過ごすコツなど、実体験をもとに紹介していきます。

「今のままでいいのかな」と感じている方にとって、キャリアブレイクという新しい選択肢を考えるきっかけになれば嬉しいです。

キャリアブレイクとはキャリア構築に向けた前向きな時間

キャリアブレイクとは、仕事から一時的に離れ、自分のキャリアを見つめ直すための期間のことです。学び直しやスキルアップ、リフレッシュなどに時間を充てることで、将来に向けた新たな一歩を準備することができます。
単なる離職期間や空白期間ではなく、積極的かつ前向きにキャリアを再設計するための時間として注目されています。
(参考:リカレント「『キャリアブレイク』とは?休職や離職を肯定的に捉える考え方を紹介」)

「キャリアブレイク」という言葉は、職歴や人生の過程を意味する「キャリア(career)」と、コーヒーブレイクなどの小休止を表す「ブレイク(break)」を組み合わせた考え方です。

【実体験】キャリアブレイクを取った理由

わたしは39歳のときに、約6ヶ月間のキャリアブレイクを経験しました。ここでは、その時の体験をお話します。

当時、わたしは大手通信会社のコールセンターで、派遣社員としてポルトガル語の電話通訳業務に従事していました。語学スキルを活かせる貴重な存在として評価されていたものの、次のような理由から仕事に満足できていませんでした。

仕事に満足していなかった理由
  • 顧客対応で精神的に疲弊していた
  • 派遣社員のため、契約が突然打ち切られる不安があった
  • 給料がほとんど上がらなかった
  • 職務内容が変わらず、スキルやキャリアの成長につなげにくかった

転職を考え始めてはいたものの、「これからどんな仕事をしたいのか」「どんな働き方が自分に合っているのか」など、具体的なイメージは持てていませんでした。
正直なところ、将来のことを前向きに考えられないほど、精神的に疲れていたのです。

さらにその頃、妻が体調を崩して離職し、療養することになりました。
わたしたちは話し合い、「まずはふたりとも仕事から離れて心身をリフレッシュしよう。そして元気になってから、改めて次のステップを考えよう」という結論に至りました。

これが、わたしたちがキャリアブレイクを取ることにした理由です。

【実体験】キャリアブレイク中にしたこと

ここでは、わたしがキャリアブレイク中に取り組んだことを紹介します。

キャリアブレイク中にしたこと
  • 趣味:焚き火に挑戦
  • 旅行
  • 家計の見直し&医療費控除の手続き
  • 資産運用の勉強
  • 副業と個人事業の準備

趣味:焚き火に挑戦!

当時はちょうどキャンプブームの真っ只中。
いい機会だと思い、以前から興味があった焚き火に挑戦してみることにしました。

住んでいた家の前には、多摩川の支流が流れ、鮎もいる自然豊かな土地が広がっていました。2月の寒い日、川原で薪を割り、火を起こし、薪をくべて炎を眺めながら暖を取る——その時間は本当に格別でした。
※この川原では焚き火が禁止されていないことを事前に確認済みです。

※この川原では焚き火が禁止されていないことを事前に確認しました。

多摩丘陵を背景に、よく晴れた日の開けた川原で、川のせせらぎを全身で感じながら過ごす時間は、まさに自然と一体になるような感覚。
原始的な焚き火の炎を見つめ、体を温めているうちに、仕事のことなどすっかり忘れてしまい、心が洗われるような感覚を覚えました。

旅行

妻の看病などもあり、退職の数ヶ月前から何度か長期の休みを取っていました。キャリアブレイク期間中も含めてさまざまな場所を旅しました。

以下が、実際に訪れた主な旅行先です。

旅行先一覧
  • 静岡県南伊豆町・弓ヶ浜
    (数年前から何度も訪れるお気に入りの場所)
  • 千葉県館山市
  • 福島県猪苗代湖、裏磐梯、大内宿
    (裏磐梯は毎年トレッキングで訪れていた)
  • 神奈川県鎌倉周辺(お寺めぐり)
  • 山梨県・静岡県の富士五湖(富士山周辺もよく訪れていた)

離職中だったため、土日や祝日にこだわる必要がなく、どの旅行も平日に出かけました。混雑を避けられるだけでなく、宿泊費などの費用も抑えられるため、時間にもお金にもゆとりがあり、行きたい場所でやりたいことをじっくり楽しむことができました。

静岡県賀茂郡南伊豆町の弓ヶ浜にて

わたしたちは海も山も好きなので、旅行先は自然が豊かな場所を選ぶことが多いです。
中でも弓ヶ浜は、お気に入りで何度も訪れている場所。波の音、風の匂い、澄んだ空気に包まれていると、仕事で溜まったストレスや疲れが自然と溶けていくのを感じました。

山梨県南都留郡富士河口湖町本栖の富士芝桜まつりにて

ちょうど見頃を迎えた芝桜を、晴天のもと富士山と一緒に楽しめたのは、本当に贅沢な時間でした。

人混みを避けられること、時間に追われないこと、そして費用も抑えられること——これらはキャリアブレイク中に旅行する大きなメリットだと実感しました。

家計見直し&医療費控除

家計見直し

キャリアブレイクに入って、最初に取り組んだことのひとつが「家計の見直し」でした。
この期間は収入がないため、可能な限り日々の支出を抑えることが重要になります。また、家計の見直しはまとまった時間がないとなかなか腰を据えてできないことでもあるので、キャリアブレイク中の取り組みにぴったりでした。

もともと不要なサブスクや固定費の見直しはある程度進めていましたが、この機会に、ずっと放置していた以下のサブスクを解約することにしました。

解約したサブスク
  • Youtubeプレミアム
  • Amazonプライム

YouTubeは広告が表示されるだけで、動画自体は引き続き視聴できるため、プレミアムを解約しました。Amazonプライムは、わたしと妻がそれぞれ個別に契約していたのですが、妻が年間契約していたため、わたしの方は解約し、家族会員として利用することにしました。

医療費控除

医療費控除も、ある程度まとまった時間がないとなかなか取り組みにくい作業のひとつです。
妻が長期間体調を崩していたこともあり、令和2年と3年分の診察代や薬代がそれなりの金額になっていたため、キャリアブレイク中に医療費を整理して、確定申告期間に申請しました。

2年分の医療費控除額の合計は約19万円となり、最終的に約1万円の還付金を受け取ることができました。金額としては大きくありませんが、それまで確定申告をしたことがなかったため、申告の流れを知る良い経験になりました。

医療費控除については出産時の費用の申請方法をまとめた「2024年確定申告 出産費用の医療費控除」にて詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

資産運用

夫婦共働きで、もともとそれほど浪費はしていなかったため、ある程度の貯金ができていました。しかし、それまでその貯金を運用して増やすようなことは何もしていませんでした。

以前から妻が「何かしらの投資をして資産を増やしたい」と話していたのですが、忙しさを理由に後回しにしていたのが正直なところです。キャリアブレイクをきっかけに、夫婦ともに「始めるなら今だ」と考え、資産運用について本格的に勉強を始めました。

その時に参考にした書籍です。

資産運用について参考にした書籍
  • 暮しの手帖の別冊 『お金の手帖Q&A』
  • 厚切りジェイソン『ジェイソン流お金の増やし方』
  • 両@リベ大学長『本当の自由を手に入れる お金の大学』

わたしたちも、多くの人と同じように「投資=ギャンブル」という先入観を持っていました。ですが、暮しの手帖は母が昔から愛読していたこともあり、わたしたち夫婦も毎号読んでいた身近な存在。その誌面で投資信託について紹介されていたことで、心理的なハードルがぐっと下がりました。

そこからさらに書籍やYouTubeの動画を通じて学び、インデックス型の投資信託であれば、初心者のわたしたちでもリスクに備えながら、無理なく始められると判断しました。

以下の流れで投資信託の買い付けを始めました。

わたしたちが実際に行った投資信託の手続き
  1. SBI証券口座を開設し、つみたてNISAを開始
  2. 住信SBIネット銀行口座を開設
  3. eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の買い付けを開始
  4. 支払い方法として、既存の三井住友カードを証券口座に紐づけ
    ※夫婦それぞれ同様の手続きを実施

現在は新NISAに移行し、積み立てを続けています。

副業と個人事業

これまで、わたしは会社員として、妻は教育機関で研究員として働き、安定した収入を得てきました。しかし、ふたりとも「雇われる立場」で働く中で、上司との関係などから多くのストレスを抱えていました。

いつかは自分たちで事業を行い、上司や所属先からの干渉を受けずに仕事をしてみたい――そんな漠然とした願望を抱いていました。

投資のパートでもご紹介した、両@リベ大学長の著書『本当の自由を手に入れる お金の大学』や、YouTubeチャンネル「リベ大」で語られている「副業は小さく始める」という考え方に背中を押され、キャリアブレイク中に本ブログを始めました。

投資のところで紹介した両@リベ大学長『本当の自由を手に入れる お金の大学』や両さんのyoutubeチャンネル「リベ大」で副業を「小さくスタートする」という考え方を参考に、キャリアブレイク中に本ブログを始めました。
(関連記事「無料ブログサービスとWordPressの違いとは? メリット・デメリットを解説」

もともと「個人で収入を得たい」という思いはあったのですが、
「どうやって始めたらいいかわからない」
「収入が不安定そうで不安」
といった気持ちが先に立ち、本格的に動き出すことができていませんでした。

しかし、「リベ大」で副業や個人事業主としての始め方を知ることで、多くの不安が解消され、ようやく挑戦の第一歩を踏み出すことができました。

キャリアブレイク後、転職をすることにはなったのですが、「会社員」という働き方に限定せず、「個人事業主」という選択肢もあると知っていたことで、転職活動も落ち着いて取り組むことができました。
そして、次の仕事は「副業の時間」と「家族との時間」を確保するため、「残業が少ないこと」を条件に選び、実際にその条件に合った職場に転職しました。

キャリアブレイクのメリット

キャリアブレイクには多くのメリットがあります。
その多くは、働きながらではなかなかできないことばかりです。

ここまで紹介してきたとおり、私自身、キャリアブレイク期間にさまざまなことに取り組むことができました。
そして、それら一つひとつが、今の私にとって大きな財産になっています。

キャリアブレイクのメリット
  • 趣味や旅行を通じて、心身ともにリフレッシュできた
  • 家計の見直しを行い、固定費を削減することができた
  • 投資を始め、資産を増やす仕組みを作ることができた
  • ブログを開始するなど、副業や個人事業をやっていく知識と土台を築けた
  • 自分にとっての働き方を見つめ直し、次の仕事探しの軸が定まった

一度立ち止まって見つめ直す時間を持てたことで、ただ休んだだけでなく、これからの人生にとって大きな前進となる時間を過ごすことができました。

キャリアブレイクのデメリット

キャリアブレイクにはさまざまなメリットがある一方で、当然ながら注意すべきデメリットもあります。

事前にデメリットを理解しておくことで、後悔のないキャリアブレイクを過ごすことができます。

ここでは、代表的な3つのデメリットと、それに対してわたしたちが実践した対策をご紹介します。

キャリアブレイクのデメリット
  • 収入がなくなる
  • 何もせずだらだら過ごしてしまう恐れがある
  • 次の転職に際してブランクが空く

それぞれのデメリットと対策を解説します。

収入がなくなる

キャリアブレイク中は基本的に無収入になります。生活費や家賃、保険料、税金などの固定費は変わらずかかるため、しっかりとした備えが必要です。

対策
  • キャリアブレイク前に家計を見直し、支出を最小限に抑える
     → サブスクの整理、保険の見直しなども効果的
  • 半年〜1年分の生活費をあらかじめ準備しておく
     → 生活防衛資金として、普通預金に確保
  • 医療費控除や失業給付など、使える制度をフル活用
     → 申請すれば戻ってくるお金も多いので、情報収集が大事
  • 実家に引っ越すなど、利用可能な選択肢を洗い出す
     → 家賃の有無は生活費に大きく影響
  • 投資や副業の勉強をして、将来的な収入源の幅を広げておく
     → わたしたちは「リベ大」などで学び、資産運用を始めました。

キャリアブレイク中に失業給付(雇用保険の基本手当)を受け取る場合、**「いつまで受け取れるか」**をきちんと把握しておくことが重要です。

  • 原則として、受給期間は離職日の翌日から1年間
  • 短期雇用特例被保険者の場合は6か月間

(参考:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」のQ11)

このように、事前に対策を講じておくことで、「無収入」という不安もかなり和らぎます。
備えあれば憂いなしです。

何もせずだらだら過ごしてしまう恐れがある

キャリアブレイクはリフレッシュの時間でもありますが、
目的や計画がないと、つい何もせず過ぎてしまう…という落とし穴もあります。

「明日からでいいか」「もう少しゆっくりしてから」と先延ばしにしているうちに、
気がついたらあっという間に数ヶ月経っていた、なんてことも。

対策
  • キャリアブレイク中にやりたいこと・やるべきことをリストアップしておく
     → ぼんやりでもいいので、やりたいことを「見える化」しておく
  • 転職活動を開始する時期をざっくりでも決めておく
     → 期限があると、自然と行動のペースもつかめてきます。転職活動を開始する時期をざっくりでも決めておく
     → 期限があると、自然と行動のペースもつめてきます。
  • 「人生の次のステージをより良くするための期間」と意識しておく
     → 単なる休息ではなく、前に進むための「準備期間」と考えるのがポイント。
  • 解決したい問題と、そのために必要な行動をセットで考える
     → 例えば「職場の人間関係がつらかった」→「自分の働き方を見直す」など。

疲れた心と体を癒すことはとても大切です。
しかし同時に、キャリアブレイクは自分の人生を主体的に整えるためのチャンスでもあります。

小さな一歩でもいいので、何か始めてみることが、充実したブレイク期間を過ごすかぎになります。

次の転職に際してブランクが空く

キャリアブレイクを取ったあと転職活動を再開すると、
「どうしてブランクがあるのか?」と聞かれることがあります。

実際、離職期間が長いと転職に不利になるとよく言われます。
何もしていなかったように見えると、企業側に「仕事に対する意欲が低いのでは?」と思われてしまうことも…。

対策
  • ブレイク期間の目的を明確にしておく
     → 「家族の療養サポート」や「スキルアップのための学習」など、具体的な理由があれば、採用側も納得してくれます。
  • 何か行動した実績を話せるようにしておく
     → ブログ運営・資格取得・ボランティア活動など、小さなことでもOK。「ただ休んでいた」のではないという証明になります。
  • 正直かつ前向きな説明を用意しておく
     → 嘘をつく必要はありません。「何のためにその時間を使ったのか」という点をポジティブに伝えるのがポイントです。

わたしの場合は、キャリアブレイク期間が約6ヶ月間ありました。
転職活動の面接では「妻の療養のサポートをしていた」と説明し、
正直に話したことで特に問題になることはありませんでした。

企業側も、誠実に説明すれば理解してくれることが多いです。
そのためにも、ブレイク中にどんなことを考え、行動したかを整理しておくと安心です。

まとめ

この記事ではキャリアブレイクについてお伝えしました。

キャリアブレイクとは、一時的に仕事から離れ、心身をリフレッシュしたり、学び直しをしたりして、これからのキャリアに向き合うための大切な期間です。

わたし自身、キャリアブレイク中には新しい趣味に挑戦したり、旅行に出かけたりしてリフレッシュしました。さらに、家計管理や投資など、まとまった時間がないと取り組めないことにもチャレンジ。副業や個人事業主として働くための勉強も進め、次の仕事に対してより柔軟な考え方を持てるようになりました。

もちろん、キャリアブレイクにはポジティブな面だけでなく、いくつかのデメリットもあります。以下にその対策をまとめました。

キャリアブレイクのデメリットとそれに対する対策
  • 収入がなくなる →
    退職前に生活費を準備しておく、家計の見直しで支出を減らす
  • だらだら過ごしてしまう恐れ →
    やりたいことを事前に決めて、計画的に過ごす
  • 転職時にブランクと見なされる →
    その期間に何をしていたか、前向きに説明できるよう準備する

こうした対策を意識しておけば、キャリアブレイクをより有意義な時間にすることができます。

もし、今の働き方に違和感を感じていたり、これからのキャリアに不安があるという方は、一度立ち止まって考える時間としてキャリアブレイクを検討してみるのも一つの選択肢です。

「休むこと」も、前に進むための大切なステップです

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